君と手を繋ぎたくて
残された人は。
その場面を見た人は。
…一生、助けられなかった思いを背負って生きていくのだろうか?
忘れられる?
笑って生きていける?
そうだったら良いけど。
もしそれがトラウマになってしまったら?
俺のように、
誰かに触れることが出来なくなってしまったら?
「先輩」
俺は陽菜乃ちゃんの声で、我に返った。
「な、何?」
「先輩は、大切な人、亡くしたことありますか?」
「…直球だね」
「ごめんなさい。
回りくどい言い方出来なくて…」
「……陽菜乃ちゃんはいるの?」
俺は、居るよ。
大事だった、好きだった…彼女、が。