君と手を繋ぎたくて








「だからあたし、沢山嫌なこともあったけど、頑張って生きるつもりです。
高校に入ったから、沢山恋愛もしたいですし!」

「…恋愛?」

「はい!
あたし、中学は女子高だったんです。
だけど少女漫画みたいな恋愛に憧れて、共学高校への進学を希望したんです!」







面白い志望理由だな、と俺は思わず笑った。

…面白くて、真っ直ぐな、ヒナノちゃんといれば。

俺も少しは、変われるだろうか?






「…そうだな。
良い彼氏、出来ると良いな」

「はい!」

「俺も、色々あるけど、頑張って生きてみようかな」

「先輩なら出来ますって!」

「…何その証拠のない自信は」

「絶対出来ますよ!
あたし色々な人にお祖母ちゃんとの思い出話すんですけど、殆どの人はマザコンならぬババコンだって馬鹿にしてくるんです!
先輩だけですよ、真面目に聞いてくれたのは」





そりゃ、真面目に聞くよ。

―――今の俺に、ピッタリなんだから。






「あ、電車動き出したみたいです!
では村木先輩、また学校でお会い出来たら、よろしくお願いします!」

「こちらこそよろしくね、陽菜乃ちゃん」





元気に改札へと駆けて行く陽菜乃ちゃんを見ながら、俺は彼女に少しだけ興味が湧いた。

きっとこの頃から、雛乃と名前は同じで顔は似ているけど、性格は違う陽菜乃ちゃんに惹かれていたんだろうな、俺は………。







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