君と手を繋ぎたくて








☆陽菜乃side☆





あたしの口が先輩と離れると、先輩は今まで見せたことのないような満面の笑みであたしを見ていた。

その笑顔に、ますますあたしは先輩へ恋して行くことを、きっと先輩は知らない。




もう、あたしは逃げられない。

哀しき十字架を背負った、だけど誰よりも優しい先輩から。










ところで。

先輩って、こんなお仕置きとかする人だっけ!?

今までまともにこうして…触れ合ったことなかったから、凄く緊張してしまう。

先輩の傍にこうして座っていることは、慣れているはずなのに。






「……陽菜乃?」

「あ、何ですか先輩!」




反射的に言ってから、気がついた。

先輩が、意地悪く笑っていることに。

そしてようやくあたしは、自分の過ちに気が付く。





先輩って、こんな意地悪な笑顔も出来るんだ。

今まで笑うって言ったら、凄く痛々しかったから。

こんなイタズラっ子みたいに笑う先輩、初めて見たかも。







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