君と手を繋ぎたくて
第1章
朝の日課
あたしの朝は、何かと忙しい。
毎日朝7時に鳴るよう目覚まし時計をセットしているから、鳴ったら飛び起きて。
お母さんが焼いてくれた食パン1枚とオレンジジュースを急いで胃の中にいれて。
洗面所へ向かって歯磨きと顔洗いをして。
あたしは不器用だから、クラスの女子のように髪を巻いたりはしないから、まだ楽。
洗面所を急いで飛び出して自室で制服に着替えて。
「行ってきます」の挨拶もそこそこに、家を飛び出す。
そこから学校まで続く道を、走って行く。
坂道じゃなくて良かったと、入学した時から思う。
もし坂道だったなら、とっくに体力のないあたしは疲れていたから。
全力疾走して見えてきた高校。
校門を通り過ぎても止まることはせずに、教室へ一目散に向かう。
途中すれ違ったクラスメイトの女子にテキトーに挨拶をし、あたしは鞄を置く。
そして鞄を机の上に置いたまま、あたしは再び教室を飛び出した。
「おはよっ!
どう?もう来ちゃった?」
階段を転げ落ちるのではないかヒヤヒヤしながら降り、校舎の外へ出る。
そして校門へ向かい、木の下の日陰でぼんやりしていた友達に声をかけた。
「おはよう。
そんなに慌てなくても、まだ来ていないよ」
「良かったぁ~」
そこでようやく立ち止まり、息を整える。
運動なんて体育でしかしない帰宅部のあたしだから、やっぱり朝から休まずバタバタするのは、まだ慣れない。
この高校へ入学してから、まだ2ヶ月しか経っていないのに。
今年を終えるまでには疲れなくなっていると良いなと密かに思う。