君と手を繋ぎたくて
第1章

朝の日課










あたしの朝は、何かと忙しい。





毎日朝7時に鳴るよう目覚まし時計をセットしているから、鳴ったら飛び起きて。

お母さんが焼いてくれた食パン1枚とオレンジジュースを急いで胃の中にいれて。

洗面所へ向かって歯磨きと顔洗いをして。

あたしは不器用だから、クラスの女子のように髪を巻いたりはしないから、まだ楽。

洗面所を急いで飛び出して自室で制服に着替えて。

「行ってきます」の挨拶もそこそこに、家を飛び出す。





そこから学校まで続く道を、走って行く。

坂道じゃなくて良かったと、入学した時から思う。

もし坂道だったなら、とっくに体力のないあたしは疲れていたから。




全力疾走して見えてきた高校。

校門を通り過ぎても止まることはせずに、教室へ一目散に向かう。

途中すれ違ったクラスメイトの女子にテキトーに挨拶をし、あたしは鞄を置く。

そして鞄を机の上に置いたまま、あたしは再び教室を飛び出した。





「おはよっ!
どう?もう来ちゃった?」




階段を転げ落ちるのではないかヒヤヒヤしながら降り、校舎の外へ出る。

そして校門へ向かい、木の下の日陰でぼんやりしていた友達に声をかけた。




「おはよう。
そんなに慌てなくても、まだ来ていないよ」

「良かったぁ~」




そこでようやく立ち止まり、息を整える。

運動なんて体育でしかしない帰宅部のあたしだから、やっぱり朝から休まずバタバタするのは、まだ慣れない。

この高校へ入学してから、まだ2ヶ月しか経っていないのに。

今年を終えるまでには疲れなくなっていると良いなと密かに思う。








< 2 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop