君と手を繋ぎたくて
少女漫画に出てきそうなイケメン、いるかな?
そう夢を膨らませながら臨んだ入学式。
そこであたしは、村木先輩に出会って恋をしたんだ。
残念ながらシチュエーションは少女漫画みたいな展開ではなかったけどね。
あたしは見事そこで、村木先輩に恋に落ちたんだ。
だけど、振られてしまった。
そりゃ恋愛には失恋が付きものかもしれないけど。
相手が村木先輩だったから……。
予想以上にあたしは大ダメージを受けていた。
「村木先輩諦めたら?」
確かに、環奈の言う通りだ。
イケメンはさっきも言ったけど、結構多い方だ。
彼氏が欲しいだけなら、恋愛がしたいだけなら、村木先輩が絶対相手じゃなくてもイケル。
だけど、あたしはもう完全に村木先輩に惚れこんでしまっている。
「その通りだけど…。
あたし、村木先輩が良い……」
ホームルームはまだ続いているというのに。
あたしの頬を、涙が伝っていた。
先生しか話していないから、頑張って嗚咽が漏れるのをこらえる。
馬鹿みたいだよね、あたし。
何でこんなに、村木先輩に恋しているの。
振られたのに、本人から直接聞いたのに、何で…。
諦めが悪いにも、ほどがある。
涙を静かに流すあたしを、あたしは自分で馬鹿だと凄く思った。