君と手を繋ぎたくて
☆ハルside☆
「待てよ優志!」
教室に到着してやっと、オレは優志の肩を掴むことに成功した。
だけど優志は、肩に置いたオレの手をはたいた。
「イテッ!何だよ優志」
「…………」
優志は無言で、オレが手を置いた肩の部分を軽く叩いている。
まるで机に積もった埃をはらうように。
「優志、陽菜乃ちゃん好きじゃねーの?」
「……悪いけど」
優志は溜息をついた。
「俺、彼女とか作るつもりないから。
別に陽菜乃ちゃんが嫌いだから断ったんじゃない。
誰であっても、俺は断っていた」
『彼女作るつもりないから』
そう言った優志の目は、今にも泣きそうだった。
入学してすぐぐらいに俺らは仲良くなって、こうして話すようになったけど。
こんな優志の顔は、見たの初めてだった。