君と手を繋ぎたくて
確かに優志は、誰かに告白されても断っていた。
3年の先輩、通称天使ちゃんに告白されても。
他の女子に告白されても。
答えはいつも同じ、「ごめん」。
中学の時、何かあったのか?
高校で出会ったオレは、中学の時の優志をよく知らない。
優志がどこの中学出身かも知らない。
もっと言えば、優志がオレ以外の男と仲良くしている場面を見たことがない。
勿論、男と話している場面は見たことある。
だけど優志は、無表情で淡々と、感情のないロボットのような愛想悪い対応をしていた。
入学当初から、優志は他の人と距離を取っている気がした。
男とか女とか、教師とか関係なく。
最初話しかけたのも、オレからだし。
優志と話す時、最初に話題を振るのもオレからだ。
優志から話しかけられることは、滅多にない。
「陽菜乃ちゃんのこと、嫌いなのかよ」
「嫌いじゃない。
むしろ、凄く良い子だと思う」
「じゃあ何で……」
「彼女作っても、相手が嫌になるだけだ」
「ハァ……」と溜息をつく優志。
…本当コイツは、謎が多い。
本心を、誰にも見せない雰囲気で。
境界線が引いているような気がして、ならない。