君と手を繋ぎたくて
そしてあたしは、毎日来るのが早い環奈(かんな)の隣に並んだ。
環奈は、あたしがこの高校に入ってから出来た、初めての友人。
山田(やまだ)環奈っていうんだ。
あたしの名字が山口(やまぐち)で、環奈は出席番号があたしの後ろなの。
出席番号が前後の縁で、仲良くなったんだ。
「環奈、もうすぐかな?」
「まだ。15分後だよ」
「そっか!
あ~、早く来ないかなぁ?」
頬に手を当てるらしくもない行動をすると、環奈の苦笑いが聞こえた。
「本当、どこの少女漫画よ」
「だってぇ~」
「その話し方やめなさい」
「は~い」
普段思っていることをバシッと述べてしまう環奈だけど、普段は凄く優しくて頼りになるんだ。
もう友達って言うより、姉みたいな感覚だよ。
「ところで陽菜乃(ひなの)」
「ん?」
周りに女子が多くなり環奈の声が聞きづらくなったので、あたしは耳を環奈の方へと寄せた。
環奈は普段より大きめの声で、あたしの耳めがけて話しだした。