君と手を繋ぎたくて
佐竹先輩が環奈の隣に座ったので、優志先輩もあたしの横に座った。
いくら長椅子とは言え、2人座ればもうギュウギュウ詰めだ。
優志先輩のブレザーがあたしのブレザーに当たって、ドキドキする。
今はまだ衣替え前だから、ブレザー同士だけど。
衣替えを終えて夏服に変わったら、勿論だけどブレザーなんて着ない。
うちの学校の女子の夏服は、白の半袖ワイシャツにクリーム色のサマーベストに水色のスカートだ。
男子は白の半袖ワイシャツに少し藍色に近い紺色のズボン。
女子のサマーベストと男子の半そでワイシャツが当たったら、もしかしたらブレザー以上に緊張してしまうかもしれないな…。
「……ヒナちゃん?」
「は、はいっ!?」
「お昼ご飯、食べないの?」
「食べます食べます!」
早口に答え、あたしは鞄からお母さんの毎朝作るお弁当を取り出す。
あたしは毎日お弁当だけど、環奈と佐竹先輩は通学途中に買ったパン、優志先輩もお弁当だった。
優志先輩の食べているお弁当は、いかにも手作り感満載だ。
「……優志先輩、お弁当なんですね」
「そうだよ」
今日は先輩たちと一緒にお弁当を食べているけど。
普段は一緒に食べない。
今日が初めて、一緒に先輩たちとお弁当を食べる日だ。
普段一緒に食べていない理由は、環奈が移動するの面倒だとか言っているから。
だけど今日は、あたしと優志先輩が付き合ったから、こうして一緒に食べているそうだ。
だから初めて、優志先輩のお昼ご飯を見ることが出来たのだ。