君と手を繋ぎたくて








「ヒナちゃん、お弁当は毎朝自分で作っているの?」

「あ、いえ。
お母さんに作ってもらっています」

「そうなんだ」

「先輩は手作りですか?」

「俺も母親に作ってもらっているよ。
自分で作ると早起きになるからね。
お弁当作るんだったら、その分寝ていたいって思うから」

「あたしもですよ!
そもそもあたし不器用なんで、1人でお弁当を作れるほど器用じゃないんですよ。
あたしが料理すると、台所が汚くなるから止めろってお母さんに言われますもん」

「そうなんだ」





環奈と佐竹先輩が2人だけの世界に行ってしまっているので、あたしは優志先輩と沢山話した。

優志先輩も基本は無表情だけど、たまに笑っていて。

優志先輩のことも沢山知ることが出来た。

優志先輩のかっこいい笑顔を独り占めで来て、あたしは凄く嬉しかった。





「ねぇ陽菜乃!」




優志先輩と他愛のない会話をしていると、幸せ感たっぷりの環奈が話しかけてきた。




「これからさ、私とハル、2人でお昼ご飯食べても良い?」

「良いよ」

「優志、陽菜乃ちゃんと一緒に食べれば良いじゃねーか」

「俺も構わないよ。
今だって、俺ヒナちゃんとしか話してないし」

「ありがと~ございます~村木先輩。
陽菜乃。もし村木先輩が休んだら、一緒に食べるからね」

「あたしも、佐竹先輩が休んだら一緒に食べるよ」




これから優志先輩と2人きりでお昼かぁ~。

緊張して変なこと口走らないようにしないとな。

恥ずかしさも勿論あるけど、楽しみの方が大きいかな!





「ヒナちゃん。
これからお昼もよろしくね」

「はいっ!
よろしくお願いします!優志先輩!!」





あたしは箸でお弁当のご飯を思い切り食べた。







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