君と手を繋ぎたくて
「残念だったね陽菜乃」
環奈が下から見上げるような形で、あたしを見る。
あたしは首を振った。
「別に良いよ。
突然すぎたもん」
「陽菜乃、あたしたちと一緒にクレープ行く?」
「良いよ行かなくて。
2人の邪魔しちゃ悪いもん。
環奈は佐竹先輩と楽しんできて?
佐竹先輩、先生から怒られるぐらいに、環奈とデート行くの楽しみにしていたんだから」
「そっか…。
じゃあまた今度、優志先輩と一緒に行こうね」
「うん。
楽しんで来てね環奈、佐竹先輩」
2人は優しいから、気にしてくれたみたい。
でも、あたしは大丈夫。
あたしは2人に手を振って、階段を下りた。
校舎から校門へ向かう道を歩いていると、目の前に優志先輩を見かけた。
基本マイペースな性格らしい先輩は、歩くのも人より少し遅めらしい。
佐竹先輩が前に話していたのを、思いだし、心の中で笑った。
顔に出して笑っていたら、変な人だもの。