君と手を繋ぎたくて
これを嫉妬と、人は呼ぶ
☆陽菜乃side☆
お昼休み。
あたしは授業が終わるのと同時に、鞄を肩に掛けて教室を出た。
あたしの素早い行動に、先生が驚いていた。
小走りで階段を下り、あたしは先輩とお昼を食べる場所へと来た。
先輩の教室は前も後ろも扉が閉まっていて、授業はまだ終わっていない。
…思えば毎回、先輩たちの授業やホームルームが終わるのは遅い。
それとも、あたしたちの教室が終わるの早いのかな……?
誰もいない椅子に座り、あたしは何もせず先輩を待っていた。
すると、椅子を動かす音が聞こえてきた。
教室が並んでいるから、どこの教室の椅子の音かはわからないけど、その音にあたしはドキッとした。
先輩の教室から、先生が出てくる。
今の椅子の音、先輩の教室だったんだ。
お昼を食べに他の先輩たちが出てきた。
中に優志先輩の姿はない。
あたしは見知らぬ先輩たちが通るのと同時に、ドキドキは加速していった。
優志先輩が出てくるのを待っていると。
先ほど出て行ったばかりの先生が、戻って行くのが見えた。
…忘れ物なのかな?
「オイ島田。
お前さっき授業聞いていなかった罰だ。
そこに置いてある辞書、図書室に持って行っておけ」
先生が教室から離れて行くのと同時に、1人の女の先輩が走って出てきた。