君と手を繋ぎたくて
「センセー!
辞書30冊なんて重いじゃないですかー!
それを乙女に持たせるなんて、酷いですー!!」
躊躇うことなく先生の腕に、自分の腕を巻きつける先輩。
先生は怒りの形相で、その腕をはらった。
…にしても、派手めな先輩だ。
金色に近い巻き髪を、耳より高い位置でツインテールにしている。
制服は着崩し、所々に校則違反となるリボンなどをつけている。
スカートも下着が見えそうなほど短いけど、スタイルは良い。
お化粧もしていて、少しチャラい感じだ。
「話していた島田が悪いんだろ」
「だって心配だったから…」
「トイレに行っていたぐらいで心配するな」
「だって急いで何も言わないで出て行っちゃったんだもん。
わたし何かしたかなーって心配になるじゃん!」
話の内容から思うに。
派手な先輩―――島田先輩は、授業中トイレに行った友人を心配し、話しかけた。
そこをこの先生に叱られ、授業で使ったと思われる辞書30冊を持つよう罰を与えたんだ。
それに対し、島田先輩は文句を言っているんだ。
「理由はどうであれ、話していたお前が悪いんだ。
その上課題も写させてもらっていたんだろう?」
「えぇ!?
センセ何で知っているのー?」
「授業中写していたの、丸わかりだったぞ。
あれで隠しているつもりだったのか。
しかも、写したのは今日が初めてじゃないだろ。
確か島田、この間の授業の時も、次の授業の課題写していただろ」
「アハハ、バレてましたか……」
「それの罰もだ。
次の時間までに持って来いよ」
「うわあん!
センセーの意地悪ー!!」
文句を言う島田先輩だけど。
先生は無視して、階段を下りて行った。