君と手を繋ぎたくて
優志先輩は椅子に座っているあたしを見つけると、少しだけ笑って、こっちに向かって歩いてきた。
普段喜怒哀楽を見せない優志先輩の笑顔は、例え少しだけでもとてもレア。
あたしの心臓は、一瞬高鳴った。
「……待った?」
「いえ、そんなに待っていないです」
待った時間は長くても。
島田先輩を見ていたから、暇じゃなかった。
決して島田先輩を暇つぶしとして見ていたわけではなかったけど。
面白い先輩がいるんだなぁって知ることが出来たから。
「じゃ、食べる?」
「はい!」
鞄を開け、お弁当を出そうとすると。
トントンッと指で、誰かが机を叩いた。
「あ、島田先輩……!」
机を叩いた本人を見て、あたしは思わず声を上げた。
すると島田先輩は、キョトンとした顔であたしを見た。
「何でわたしのこと……?
……もしかして、さっきのセンセーとのやり取り見てた?」
小さく頷くと、島田先輩は顔を真っ赤にした。
優志先輩と違って、喜怒哀楽が激しい先輩だ。