君と手を繋ぎたくて
「うわー恥ずかしい!
あなた、1年生だよね?
1年生に見られちゃったかー」
顔を両手で覆って、その場をぐるぐる回り始める島田先輩。
「…オイ、華子。
そんな所で暴れると、他の奴の邪魔だ」
「あ、ユウシ!
わたし、ユウシに用事があったんだよ!」
華子、ユウシ。
―――お互い、下の名前を呼びすて…?
性格が正反対そうな2人のその関係に、あたしは戸惑いを覚えた。
「俺に?何の用だよ」
「さっきわたし、ユウシのせいで怒られたんだけど?」
「…あれはどう考えてもお前が悪いだろ」
「だってわたし、心配したんだよ?
ユウシが突然教室出て行っちゃったんだから。
心配するに決まっているじゃないの」
「あれはトイレに行っていただけだ。
別に心配する要素なんて、どこにもない」
さっき、島田先輩は先生に怒られていた。
トイレに行った友人に話しかけていたから。
その友人に、ノートも借りていたから。
その友人が、
―――優志先輩なの……?