君と手を繋ぎたくて
「ヒナノ」
「は、はい!」
「わたしと一緒に、辞書運んでくれる?」
……はい?
あたしが?
「オイ華子。
何でヒナちゃんを巻きこもうとしているんだよ。
ヒナちゃんは関係ないだろ」
「だって、ユウシ今からヒナノと一緒にご飯食べるんでしょ?
わたし、ユウシには手伝ってもらう理由があるけど。
ユウシが運んでいる間、ヒナノは待つことになるでしょ?
ならヒナノも一緒に運べば良いのよ!」
…な、何だか上手くまとめられた気がする……。
「ヒナちゃんや俺を巻きこむな。
華子1人で運べば良い話だろ」
「えー?
ユウシってばそんな悪い奴だっけ?」
「つべこべ言ってないでさっさと1人で運べ。
俺とヒナちゃんは食べるんだから」
「あ、あの優志先輩!」
正直言って、島田先輩は簡単に引き下がる性格じゃなさそう。
こうやって言い合っている間にも、時間はどんどん過ぎて行く。
お昼ご飯を食べ終わるのが基本遅いあたしは、もう食べないといけない。
「あたし、島田先輩と一緒に運びますよ」
言い合う時間があるのなら、さっさと運んだ方が良いと思ったのだ。