君と手を繋ぎたくて
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図書室に辞書30冊を置いたあたしたちは、先ほどの場所へと向かって歩いていた。
本当は島田先輩のみ、校庭で待つ友人の所へ行く予定だったんだけど、お弁当がはいっている鞄を教室に置いてきてしまったみたいで。
あたしと優志先輩は、先輩たちの教室近くのテーブルでのお昼ご飯だから。
島田先輩も一緒に歩いている、という光景が出来上がったのだ。
「あー、何でセンセーってば、乙女にあんな重たいの持たせるのかなー」
「全部華子が持ったわけじゃないだろ」
「そうなんだけどー。
ヒナノ、ありがとうね。
突然なのに手伝ってくれて、良い後輩ちゃんダネ」
島田先輩と優志先輩の1歩後ろを歩いているあたしを見て、笑う島田先輩。
あたしは苦笑いを返した。
図書室から教室までの廊下は狭くて。
3人並べる広さはない。
その上前から人が来る時があるから。
後輩であるあたしは、先輩たちの1歩後ろを静かに歩いているのだ。
目の前では、優志先輩と島田先輩が楽しげに話している。
普段笑顔を見せない優志先輩も、時々笑みを浮かべている。
島田先輩も人懐っこい笑顔を浮かべていて。
2人とも美男美女だから、正直…お似合いだ。
優志先輩の彼女である、
―――あたし、よりも……。