君と手を繋ぎたくて
2人が並んで歩く姿、本当は見たくない。
用事がありますって言って、逃げてしまいたいほど。
だけど、優志先輩が時折振り返り、小さく笑いかけてくれるから。
……その笑顔が見たいだけで、あたしは2人の後ろをついていくんだ。
あたしって、本当に単純だよね…。
「そういえばユウシ。
ユウシとヒナノって、どういう関係なの?」
突然立ち止まった島田先輩が、あたしと優志先輩を交互に見ながら聞いてきた。
あたしの心臓はその問いに、ドキッと嫌な音をたてた。
―――先輩、なんて言うんだろう…。
「……どういう関係だと、思う?」
優志先輩は、ふっと笑いながら逆に質問した。
笑っている。
だけど、その双眸は寂しげだった。
「うーん…、
少なくとも、コイビトじゃないね!」
恋人じゃ、ない。
島田先輩の明るい答えは、刃としてあたしの心臓に突き刺さった気がした。
勿論そんなことはないけど、そんな気持ちがしたんだ。
辛い?
哀しい?
―――そんな感情なんて、ない。
あるのは、
―――納得感、だけ。