君と手を繋ぎたくて








鞄を持ったまま、あたしはがむしゃらに走った。

行く場所なんて、デタラメ。

どこへ向かっているのか、あたし自身もわからない。





途中で、島田先輩の友達であろうチャラい人たちとすれ違った。

泣きながら走るあたしを見て、怪訝な顔をしていたけど、気にしない。

そんなこと気にしている、暇なんてなかった。





「……陽菜乃?」




後ろから声が聞こえて、あたしは思わず立ち止まった。

止まるつもりなんてなかったけど、急ブレーキがかかったんだ。

あたしはこぼれ落ちる涙を拭わないまま、振り向いた。





「……環奈ぁ………」

「どうしたのよ陽菜乃!」




手にいちごみるくを持ちながら、環奈が走り寄ってきた。

一緒にお昼を食べているはずの佐竹先輩の姿は、なかった。

あたしはその場にしゃがみ込んで、顔を両手で覆いながら泣きだした。





「どうしたの陽菜乃?
お昼ご飯は食べたの?」




あたしの傍にしゃがんだ環奈が、聞いてくる。

まずはそこ聞くんだ…別に良いけど。






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