君と手を繋ぎたくて
「いられるわけないじゃない!!」
だけど環奈は、あたし以上の声量で言いきった。
廊下にもし誰か歩いていたら、驚いてしまうほど。
「ハルが誰かとキスとか抱き合ったりとかしたら、落ち着いていられるわけないじゃない!
そりゃここは共学高校なんだから、クラスメイトの女子と話すぐらいは構わないわ。
だけど、それ以上の関係になるの、私は絶対許さないんだから!!」
環奈の発言に、あたしの涙は驚いたのか止まっていた。
環奈に夢中な佐竹先輩が、そんなことするとは思えないけど。
…環奈も、不安な部分があったりするのかな……?
「良い?陽菜乃。
嫉妬は人なら誰しも持っている、当たり前の感情だわ。
確かに嫉妬深過ぎると、嫌われてしまうかもしれないけど。
その上、私も陽菜乃も、年上の彼氏でしょ?
年上だから、自分たちが知ることの出来ないこともあるかもしれないの。
だから、私たち年上の彼氏を持つ彼女たちは、同い年の恋人同士よりも不安が多いかもしれないの。
嫉妬しても良いと思うわ。
逆にその嫉妬心を隠して生きて行こうなんて、考えちゃ駄目。
将来も一緒になりたいと思うなら、自分の気持ちを正直に話した方が良いと思うわ」
自分の気持ちを、正直に話す…。
「そんなことしても、引かれないかな…?」
「はぁ、陽菜乃って本当に被害妄想が激しいのね。
まだ言ってもいないのに、引かれる前提で考えないの。
まずは、当たって見なさい?
…言っておくけど、砕けちゃ駄目よ?」
引かれる前提で、考えないの。
当たるけど、砕けるな。
「うん!」
あたしは、環奈の言葉に頷いた。
やっぱり環奈は、あたしの大事な友達だ。
その上、大事な恋の相談相手だ。