君と手を繋ぎたくて
第3章
神様のイタズラ
☆華子side☆
何故か泣きながら、ヒナノは走って行ってしまった。
その姿を、ユウシは哀しげな瞳で見つめていた。
ユウシ…。
まだユウシは、その瞳をやめないのね。
“あの時”からずっと、ユウシは瞳に哀しみを映したまま。
今にも泣きそうで。
いつも何かに耐えているような。
そんなユウシの哀しげな瞳が、わたしは嫌いだった。
「…ユウシ」
「……何?」
「ヒナノは、ユウシの彼女なの?」
「…………」
「……何で答えないの?」
わたしは1歩ユウシに近づいた。
ユウシは1歩後ずさりをした。
だから、わたしたちの距離は変わらない。
…いや、違う。
―――“あの時”からずっと、ユウシは誰も寄せ付けない。
誰かに頼ろうとしないし、誰かに近づこうともしない。
誰かに、
触れようともしない。