君と手を繋ぎたくて
素直に、なりたいんだ。
「優志先輩!大好きですッ!!」
あたしはさっきよりも大声で叫んだ。
お昼を食べ終わり、教室に戻るらしい見知らぬ先輩が、あたしを見て驚いて通り過ぎていく。
「ひ、ヒナちゃん……?」
「好きです!好きなんです!優志先輩!!」
言うたびに、体温が上がって行く。
恥ずかしすぎて、どこかに飛んで行ってしまいそう。
驚いている優志先輩を真っ直ぐ見つめながら、あたしは「好きだ」と連呼した。
「先ほどは突然変なこと言ってごめんなさい!
あたし、優志先輩と島田先輩に嫉妬してしまったんです!
優志先輩、普段無表情で笑わないのに、島田先輩と一緒にいるときは楽しげに笑っていて。
お2人の親しげな関係に、あたし嫉妬してしまったんです!
こんな簡単に嫉妬してしまうあたしなんて、嫌になるかもしれませんよね?
だけど、あたしは優志先輩が大好きなんです!
ずっとずっと、入学式に優志先輩に怒られた時から、あたしは優志先輩が大好きなんです!
入学してから今まで、優志先輩の傍にいられたらって、ずっと願っていました!
優志先輩、あたしに言いましたよね?
他の男が好きになったら、他の所に行っても良いって。
そんなこと、あたしには絶対あり得ません!
優志先輩がどうして、そんなに臆病なのか、知りません。
だけど、どんな過去を背負っていても、あたしは優志先輩が大好きなんです!
優志先輩以外好きになるなんて、天と地がひっくり返ってもあり得ません!
大好きなんです!優志先輩!!
あたしは、優志先輩が、大好きで―――すッ!」
あたしは犬が遠吠えをするように、天井を見上げながら、一気に言いきった。
言い終えた後は、呼吸が乱れて、肩で息をするほど。
いつの間にか先輩方のギャラリーが出来ていて、その中央で優志先輩と島田先輩がポカンッとした顔で立っていた。
優志先輩のポカンとした顔、レアだわ……。