君と手を繋ぎたくて









「プッ…アハハハッ!」





突然、静かな空間の中、島田先輩の笑い声が響いた。

お腹を抱えながら、大爆笑する島田先輩。

…何でそんなに笑うんですかぁ。

いっきに恥ずかしくなるじゃないですか…。





「ヒナノ、アンタ最高だね!」

「ふぇ?」

「ごめんごめん。
言ってなかったよね。
わたしとユウシの関係」





実はわたしたち、恋人なんだ。

…そんなこと言われたら、どうしよう。

あたしは内心、思い切り焦っていた。





「わたしとユウシはね」

「うきゃああああっ!」




あたしは意味不明な言葉を叫んで、その場にしゃがみ込んだ。

その場所が、階段の途中だった。



一気にしゃがみ込んだあたしは、バランスを崩し、背中を下に向けたまま階段と垂直になる。

先輩方のギャラリーから、「キャア!」や「うわあ!」と言った叫びが聞こえた。

一方のあたしは、スローモーションに感じて、その上金縛りにあったみたいに体が動かないから、身動きも取れない。






< 77 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop