君と手を繋ぎたくて
☆優志side☆
鈍い音を立て、俺とヒナちゃんは階段の下へ落ちた。
急いで、他のクラスの人たちが集まってくる。
俺はゆっくりと、少しだけ痛む頭を押さえながら起き上がった。
「大丈夫ユウシ!」
「……ッ俺は、大丈夫」
俺は、咄嗟に掴んだ左手の先を見た。
そこには、静かに呼吸をしているヒナちゃんがいた。
見たところ、怪我はしていない。
…俺、守れたん、だ。
生きて、る。
「……ユウシ?」
華子の声に、ふっと我に返る。
そして、ゆっくりと左手を、ヒナちゃんの右手から離した。
何も触れていない手を、ヒナちゃんの首と膝の後ろにかけて、そのまま立ちあがった。
「次の授業、サボるから」
「うんっ!」
俺はヒナちゃんをお姫様抱っこしたまま、保健室へ向かった。