君と手を繋ぎたくて
保健室は空いていたけど、誰もいなくて。
ベッドの上に、ヒナちゃんを乗せた。
そのまま周りにカーテンを閉め、俺はその場にしゃがみ込んだ。
…良かった。
今度こそ、守れて。
アイツのことは、守ってあげられなかったから。
今までずっと、貯めこんでいた息を吐くと。
保健室の扉が、元気よく開いた。
「……優志じゃん」
「ハル……?」
眠そうに欠伸をしながら入ってきたのは、ハルだった。
俺はてっきり先生かとばかり思っていたので、立ちあがろうとした腰をもう1度下げた。
ハルなら、こうしてしゃがみ込んでいても良いと思ったから。
「…ハル、どうしたんだよ」
俺は一旦ハルへと向けた顔を、もう1度俯かせた。
ハルの前だと、こうしてしゃがみ込んでいても良いとは思ったけど。
どんな顔しているかわからないから、あげることが出来なかったんだ。