君と手を繋ぎたくて
「眠いから、サボろーと思って。
優志こそ保健室なんて珍しいじゃん。
具合でも悪いのか?」
俺は黙って首を振った。
「誰かいるのか?優志の後ろ」
ハルが言っているのは、俺の後ろにあるベッドのことだろう。
そのベッドには、ヒナちゃんがいる。
「……ヒナちゃんがいる」
「陽菜乃ちゃんが?
何で陽菜乃ちゃんがいるんだよ」
「……階段から、落ちた」
「マジかよ!
怪我とかしてねーの?」
「…大丈夫だと思う。
だけど、今は気を失っているから」
「そっか。
陽菜乃ちゃんが怪我とかしたら、絶対環奈が悲しむからさ。
オレ、環奈の悲しむ顔は見たくねーんだよ」
ヘヘッと笑うハルの声が、聞こえる。
「……ハル」
「ん?」
「どうして、お前は……」
俺はゆっくりと顔を上げ、真っ直ぐにハルを見つめた。
「そんなに、彼女のこと…好きでいられるん、だ?」