君と手を繋ぎたくて

それを言った瞬間、膝の上に置いてある両手に、何か冷たいものが当たった。

両手を見てみると、小さな水たまりが出来ていた。





「……ハハッ」




思わず、乾いた笑いが漏れた。

…馬鹿みてーじゃん、俺。





「…優志？
お前、どこかぶつけたのか？

……何で、泣いているんだよ………」






ハルの訝しげな言い方に、俺の涙腺は崩壊したようだ。

まるで滝のように、涙が両目からこぼれてきた。

情けない、と思いながらも、涙は止まってくれなかった。





助け、られたんだ。

ヒナちゃんの、こと。





恐怖なんて、なかった。

ヒナちゃんの手を、掴むことに。

ただ、ヒナちゃんを助けたくって。

その一心だったんだ。




落ちて行くヒナちゃんの瞳が、アイツと重なって。

今度こそ、助けたかったんだ。