君と手を繋ぎたくて







静かな、保健室。

いる人は、ヒナちゃんとハルと、俺。

ヒナちゃんは何も言っていない所を見ると、まだ寝ているのだろう。

起きている俺とハルは、泣いている。

…本当に、情けない光景だと思う。

正直、ヒナちゃんと環奈ちゃんには見せたくない光景だ。






「…何で、お前が泣くんだよ……」

「優志が、泣いているからだろ」

「…何、もらい泣きしているのかよ」

「悪かったな。
オレ、涙もろいんだよ…」





ぐし、と自分の袖で自ら涙を拭うハル。

そして、赤くなった目を、真っ直ぐ俺へと向けた。

本当に、もらい泣きだったようだ。





「……なぁ、優志」

「何だよ」





ハルは真っ直ぐ、俺を見つめた。

その目が、ハルには珍しく真剣で。

あんまり見たことのない表情に、俺も驚いて見つめ返した。

逸らすことが、出来ないんだ。









「オレに、聞かせてくれねーか?
…お前の、抱えているモン、全部……」






もう、

―――無理だと、思った。







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