君と手を繋ぎたくて
微笑む先輩
☆陽菜乃side☆
「……んっ」
あたしはゆっくりと、重たい瞼を開いた。
真っ先に目にはいったのは、薄いピンク色のカーテン。
カーテンが、あたしを覆うようにかかっていた。
このピンクのカーテン、見たことある。
確かあれは、1年生の時。
体育の途中で、バスケの試合をしていて。
遠くから投げられたボールを、上手くキャッチすることが出来なくて。
あたしの顔面に見事に激突して。
味方で、ボールをあたしの顔面に当てた張本人―――環奈と一緒に来た場所だ。
つまりここは、保健室?
何であたし、保健室にいるんだろう?
あたしはまだ起きていないらしい脳を使い、何故自分が保健室へ来ることになったのか、その経緯を思い出した。
―――あぁ、そうだ。
あたしは自分の右手を、小さく握った。
あたし、階段で思い切り優志先輩に好きだって気持ちを伝えたんだ。
島田先輩から優志先輩との関係を聞きそうになって、思わずしゃがみ込んで。
立っていた階段から、落下しそうになったんだ。