君と手を繋ぎたくて
優志先輩の…過去?
佐竹先輩の口から飛び出した言葉に、あたしは驚いた。
「優志先輩…何かあったんですか?」
「そうオレに聞いてくるってことは、聞いていないんだね?」
「はい……」
何があったの…優志先輩……。
「そっか…。
ありがとね、教えてくれて」
「佐竹先輩は…知っているんですか?
優志先輩の…過去を……」
「……知っている、よ」
「佐竹先輩!
優志先輩は過去に何があったんですか?
どうしてあんなに…寂しそう、なんですか?」
いつも、そうだった。
優志先輩は、常に寂しそうだった。
佐竹先輩が隣にいても、島田先輩が隣にいても。
あたしが、隣にいても……。
いつも、寂しそうにしていた。
まるで、室内にいるのに、1人だけ外にいるみたいだった。
周りがそうしているんじゃない。
むしろ佐竹先輩も島田先輩も、優志先輩が寂しくならないよう必死だ。
勿論、あたしも。
だけど、優志先輩は全て遠ざけていた。
まるで、人と接するのを嫌がるように。
…嫌がっているんじゃない。
あれは、
―――拒絶、だ。