君と手を繋ぎたくて
佐竹先輩が出て行ってすぐ。
優志先輩が入れ違うように入ってきた。
入り口付近に立っていたあたしを見て、優志先輩はほんのりと微笑んだ。
滅多に見れない、綺麗な笑顔に、思わずときめく。
きっと手にカメラがあったのなら、迷わず撮影していただろう。
…変態行為だけど、そう思ってしまったのだから仕方がない。
きっと、優志先輩は嫌かもしれないけど。
勝手な予想だけど、優志先輩はカメラが苦手な気がするから。
「大丈夫だった?ヒナちゃん」
「はい。
先輩が助けてくれたんですか?」
「ん、まあね。
ヒナちゃん気を失っていたみたいだから、保健室に連れてきたんだ」
「ありがとうございます。
重くなかったですか?」
「大丈夫。
気にしないで」
ふんわりと微笑む優志先輩。
2度目のそんな笑顔に、あたしは疑問を抱いた。
「…優志先輩」
「ん?」
にこり、と可愛らしく微笑む優志先輩。
本人には言わないけど。
「…何か、ありましたか?」