君と手を繋ぎたくて







「ヒナちゃん……?」

「ありがとうございます…優志先輩……」




嗚咽交じりに、あたしは先輩の目の前に立ちながら泣いた。






「先輩…」

「ん?」




「あたしは、先輩の彼女になれなくても良いです…」




嘘。

本当はなりたい。





だけど。







「あたしは、先輩の彼女になれなくても良い。
だけど、先輩の傍にはずっといたいんです……」




好きだから。

大好きだから。

ずっとずっと、先輩を傍で見ていたい。





例え彼女になれなくても。

先輩が他の女(ひと)と付き合っても。

先輩の傍に、いられるのなら。

あたしはもう、何も望まない。







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