君と手を繋ぎたくて
デート出来なくても。
クレープ食べれなくても。
手を繋げなくても。
キス出来なくても。
…先輩の傍にいたい。
それだけで、良い。
「ヒナちゃん……」
「ですから、島田先輩と…お幸せに」
あたしは、保健室の入り口へと体を向けた。
「待って、ヒナちゃん」
あたしの体は、正直だと思う。
だって、先輩の声だけで、止まってしまうのだから。
“彼女になれなくても良い”なんて言いながらも、心と体は認めていないみたい。
きっとそう願う頭も、本当は“嫌だ”と拒絶するんだろうけど。
「俺と華子は、そんな関係じゃない。
俺と華子は、ただの幼馴染だよ」
おさ、ななじみ…。
幼馴染!?
あたしは急いで振り返った。