私の居場所
突然変わった話に私は奈緒さんを見る。

「私の目はごまかせないわよ。園美さんが福山さんの送迎をし始めてから、かなり福山さんの表情が優しくなったもの。」

そうなんだ、私は少しもそんな事を感じなかったけれど。

「何かあったでしょう?」

興味津々で私に近づく奈緒さん。

「ああ、帰りに送ったついでに夕飯を作らされてました。」

私は正直に答えた。

奈緒さんはそれにクスリと笑った。

そして私に何かを言いかけた。

だがそこに工場から入ってきた悦子さんが声をかける。

「奈緒、早くこっちに戻って仕事して。」

それだけ言うと、慌てて工場に戻ろうとする悦子さん。

「もうタイミング悪いな、お母さんは。この話はまたね。」

奈緒さんも悦子さんの後を追って、慌てて工場へ戻って行った。

「助かった…。」
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