私の居場所
10
何日かに一度、夜に颯太からラインは届いていた。

でもそれは必ず颯太が送って来たラインに私が返信して終わり。

内容もたった一行の簡単なもの。

今日はしんどかったとか、こんな作業をしたとか、そんな仕事のたわいもない内容。

でも私はそれで十分だった。

颯太が元気に仕事をしていているのならそれで良い。

だって私は自分の気持ちを持て余していたから。

颯太の事が好きだと自覚しても、離れている事を理由に今はどうにもならないと思っていたから。

1か月後、颯太が帰ってきたら自分がどうしたいのか、それをじっくり考える時間が与えられていると勝手に思い込んでいた。

だからラインの返信には全くそんな事を匂わせなかった。

そう、ちょっと自分の正直な気持ちから逃げている。

そんな感じ。

颯太が向こうの工場に手伝いに行ってから、そろそろ2週間。

やっと半分が過ぎた。
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