私の居場所

定時まで仕事をして帰ってくれば、もしかすると夕飯も遅くなるかもしれない。

そう思っていた。

ところが…。

颯太のアパートに着くと、電気が付いているような気がする。

まさかね。

忙しい週末に仕事を早退して帰って来るとは思えない。

そう思いながらも、ドキドキしてくる。

どうしよう。

まだ颯太と会う心の準備が出来ていない。

料理しながら、心づもりをするつもりでいた。

私は車を降りたが、荷物を降ろすのに時間をかける。

「会ったら何て言おう…。」

思わずつぶやいた私の後ろで人の気配がした。

「素直にお帰りって言えばいいだろう?」

私はその声に振り返った。

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