私の居場所
福山さんに連れて行ってもらったうどん屋さんは、ちょっと分かりにくい場所にあった。

もう私はすぐに帰る事を諦めて、福山さんの後を付いていく。

これ以上、福山さんの機嫌を損ねないように、十分気を付けよう。

福山さんはうどん定食を、私は単品で山菜うどんを注文した。

「園、それだけで足りるの?」

不思議そうに福山さんは聞く。

「残したら勿体ないですから。」

そう私が言うと、なぜか笑顔になる福山さん。

「別に園が残したら、俺が食べてやるのに。」

どうやらご機嫌は直ったみたいに見える。

「俺ってそんなに怖い?」

そんな事を聞く福山さんはじろじろと私の顔を見ている。

「いえ…。」

私はどもってしまった。

その私の様子に福山さんは豪快に笑う。
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