私の居場所
ついに聞いてしまった。

私はそう思うと、背中に嫌な汗を感じた。

「園、だからおどおどしていたのか?」

私は福山さんのその言葉に大きくうなずいた。

「あの材料を移動してもらってから、何か私に対して怒ってますよね?私は何か、福山さんの機嫌を損ねるような事してしまったんでしょうか。」

上目使いに福山さんを見つめた。

油断すると、気持ちで負けてしまいそう。

「園、やっぱり気を遣いすぎだ。」

ただポツリとそれだけ言うと、福山さんは席を立った。

レジ前で財布を出そうとする私を、福山さんは睨みつけてくる。

取りあえず財布を鞄の中にしまい、お礼を言う。

外へ出てから、私は福山さんに声を掛けようとした。

でもその意図が分かっていたように福山さんは先に言った。

「今日は俺が誘ったんだから、素直におごられておけ。」

「すいません。ありがとうございます。」
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