私の居場所
ぼそっと何でもないように雅さんは言った。

「こうやってベテランが気が付いてくれると、うちの頑張りだけの最小被害で済むからな。相手先にも恩を売れるから、この先の仕事もしやすくなる。雅さんさまさまだよ。」

社長は疲れた顔をしながらも、誇らしい顔をした。

そこへ則人さんと敏さんが入って来た。

「明日の午前中の分は目途が立ってきたな。」

ホッとした様な敏さんの顔。

私は4人にお茶を出した。

この時点で時計は9時を過ぎていた。

「最近は発注のやり方も変わったみたいで、こんな数字の大きな間違いはないんだけどな。昔はこんな事は結構あったけどな。」

敏さんは懐かしげに社長と雅さんに話しかけた。

「そうだな。昔は若かったから無理も利いたけど、久しぶりだとしんどいな。」

雅さんはおにぎりをほおばりながら笑った。

「俺、手伝い出来る事は知れてますが、体力的には頑張れますから何でも言って下さい。」
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