私の居場所
「園美ちゃんは料理の方は出来るの？おにぎりは握り慣れてるみたいね。」

悦子さんは、取ったおにぎりを眺めながら言う。

「前の会社に居た時は一人暮らしでしたから、自分の分くらいは作っていました。でも実家に帰っちゃうとダメですね。母親の用意してくれる食事にありがたみを感じてます。片づけもしなくても良いですし。」

私は恥ずかしそうに答えた。

「やっぱり実家だと甘えちゃうよね。」

奈緒さんは同意を求めるかのように、嬉しそうに言う。

「もう少し私が歳を取ったら、嫌でも家事も工場も奈緒が仕切っていかなくちゃいけない時が来るよ。それまでは楽させてあげる。」

悦子さんは意地悪そうに笑う。

とても元気で仕切り屋の悦子さん。

奈緒さんにすべてを譲るのはまだまだ先になりそうだ。

しばらくすると、工場へ戻っていく二人。

「ああ、ゆっくりさせてもらったわ。福山君の休憩はまだみたいだね。声かけてくるよ。」

そうやって悦子さんは出て行った。








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