私の居場所
「でも出来ればで良いんですけど、早目の時間にお願いします。」

私は控えめに、でも念を押すかのように伝えてから、電話を切って工場へ走る。

…っといっても、ドア一枚隔てた向こう側なんだけれど。

「福山さん。」

入口そばでねじを研磨している福山さんに大きな声をかける。

「おっ、園美ちゃん、どうだった?」

私に気が付いた福山さんが作業を止めて、こちらにやって来てくれた。

工場内は作業のため、かなりうるさい。

だから福山さんはかなり私の顔に自分の顔を近づけた。

これはいつもの事だ。

「何とか明日に届きそうです。でも時間は指定できないそうです。」

私は口元に手を添え、福山さんの耳元で伝える。

「ありがとう。園美ちゃんの仕事の手を止めちゃったな。ありがとな。」

そう言って福山さんはにこりと私に笑いかけて、戻っていく。

そして雅さんにそれを伝えているようだ。
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