私の居場所
「今晩は。私は福山颯太と言います。園美さんと同じ会社でねじの職人として、見習いをしながら働いてます。」
福山さんはものすごく丁寧に頭を下げた。
「どうぞ、座って下さい。」
コーヒーを運んできたお母さんは、そう福山さんに言う。
福山さんが座ったソファの隣に、少し間を空けて私も座る。
「それでどうしてうちに?」
「実は…、私はこないだの健康診断でちょっと血圧の方が引っかかりまして。」
あれ?もう結果出たんだったっけ?
私は驚いて福山さんを見た。
それをだまっていろと目で制する福山さん。
「中性脂肪の方も標準値ぎりぎりでした。」
でもそれがうちに来るのにどういう関係があるのだろう。
「つまり食事療法が必要だという診断が出たんです。でも私は親と早くに死に別れてしまいまして、いつも外食ばかりなんです。」
ますます言っている事がどこにつながっていくのか分からない。