私の居場所

「私にはさっき言いましたように身寄りは有りませんし、今更料理を覚えるのも大変です。ましてはカロリー計算なんて、大の苦手です。そこで園美さんに食事の方の管理をお願いしたいと思って、ご両親にお願いに伺ったのです。」

あっ…!

福山さん、こんな事を考えていたんだ。

「会社で同僚の園美さんなら、どんな人かも分かっていますから安心ですし、うちで夕食だけでも作ってもらえると助かるんです。」

そう言うと人懐っこい顔をして、両親に笑いかける福山さん。

「すいません。私の生活は家と会社を行ったり来たりで、こんな都合の良い事を頼めるのは園美さんしかいないんです。もちろんお金にかかわる事は、園美さんに負担をかけさせません。」

そして福山さんは深く頭を下げた。

「福山さんの身寄りはないってどういう事なの?」

お母さんが聞いた。

私にしてくれた説明をする福山さん。

それにさらに付け加えた。

「父は母と結婚する時に反対されたみたいで、父方の親せきとは行き来は有りませんでした。自分の戸籍を調べた時に初めて母も若いうちに亡くなっていた事を知りました。」
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