私の居場所

「苦労して来たんだな。」

お父さんが同情の気持ちが入った返事をする。

お母さんも神妙な顔をしている。

これはもしかして、もうすっかり福山さんのペースにはまってしまったんじゃないだろうか。

私がそう思った瞬間、お父さんが私の方を向いて口を開いた。

「園美、福山さんにお世話になっているんだろう。だったら夕食を作るくらい大した事ではないよな。」

お母さんがそれに加勢する。

「園美はこう見えても私よりずっと料理を作る事が好きなんですよ。福山さんの食事の管理ぐらい楽しんでやりますよ。」

凄すぎる…、福山さん。

私の両親を丸め込んでしまった。

私はそう思うと、福山さんを見た。

福山さんはちょっと勝ち誇ったような顔を私に見せる。

ここに両親が居なければ、ピースサインをしながら大声で笑いそうな雰囲気。

「今度うちにも食べいらっしゃい。私もいろいろと献立を考えてみるわ。」
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