全部。
プロローグ
私の左腕には、彼と生きていたっていう証がたくさんついている。
16歳だった。
16歳ではじめた煙草。
年上の彼が吸っていたものと同じ銘柄の煙草を吸っては、
「私から離れないで」っていう執着のしるしに
左腕のいたるところにジュウと火を押し付け
自分のこんなドロドロとした気持ちを消していた。
根性焼き。
それは、初めて彼と行為をしたとき見たもの。
肩から背中にかけての龍の刺青。
そして左腕の根性焼き。
「なんでこんなことしてるの」って聞きたくても
煙草に火をつけた彼の横顔があまりにも悲しげで。
でもどこか儚げで。
見とれているうちに忘れてしまった─────
16歳だった。
16歳ではじめた煙草。
年上の彼が吸っていたものと同じ銘柄の煙草を吸っては、
「私から離れないで」っていう執着のしるしに
左腕のいたるところにジュウと火を押し付け
自分のこんなドロドロとした気持ちを消していた。
根性焼き。
それは、初めて彼と行為をしたとき見たもの。
肩から背中にかけての龍の刺青。
そして左腕の根性焼き。
「なんでこんなことしてるの」って聞きたくても
煙草に火をつけた彼の横顔があまりにも悲しげで。
でもどこか儚げで。
見とれているうちに忘れてしまった─────