全部。
暗闇で光るフラッシュ。

朦朧とする意識の中、これは何かと思考を張り巡らせる。

────カメラ。

写真を撮られたんだ。

フラッシュと共に照らし出される、厭らしい笑みを浮かべた男たちの顔。

きっと、脳裏にこべりついて離れない。

カメラの主である男がハハッ、見ろよとまわりの男たちにカメラを差し出す。

嫌。嫌。嫌。見ないで。

男たちの蔑んだような目を見ていると、視界がかすんできた。

涙が流れる。

頬を伝い、シートを濡らしていく。

そんな私に気がついた男が、

「おい見ろよ。こいつ、泣いてるぜ」

笑いながら私の髪を引っ張った。

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