50年目のプレゼント
 
 ありのまま

 おじいちゃんに伝えた。


 おじいちゃんは泣いていた。

 最近、すぐ泣くんだから。



 そして、

 おばあちゃんの望みをかなえるため

 私たちは作戦をたてた。


 まず、デートをどこでするか。

 おじいちゃんはさすがに

 近所で腕を組んで歩くことは

 嫌らしい。


 「じゃあ、どこか思い出の場所とか

 ないの?」

 「そうだなあ」


 白髪の産毛がちょこちょこ生えてる

 はげ頭。

 それをぐるぐる撫でながら、
 
 おじいちゃんは考え込んだ。

 
 「ほら、あそこの、みかん山の裏の、
 
 あの森。」

 「ふん。」

 「昔は今の時期になると

 蛍がぎょーさん出たんじゃ。

 2人でよう見に行った。」

 
 おじいちゃんは目を細めた。


 「じゃあ、そこで決まりだね。」


 
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