偽物少女の受難な恋
始まりのとき
episode1
「お嬢さま、お目覚めの時間ですよ」
使用人のいつもの声で目が覚めて、また私のいつも通りの1日が始まる
まだ覚め切れていない頭に、外からの鳥の声が響いてくる
ああ、また退屈な、偽物の私の1日が始まる
起こされて少したった後、すぐに学校の制服に身を包み
化粧台の前に立ち、手早く髪をとかしていく
幸い今日は特に酷い寝癖等もついておらず、いつもより比較的早くに準備が終わった
すぐさま下に降りていき、いつもの席で朝食をとる
手早く食事をとりながら、今日の一時間目の授業がなんだったかを考える
朝食を終えた後、鞄を部屋から持ってきてもらい、表に止めてある車に乗り込む
学校へと車が向かう中、ぼーっと外の景色を眺めていた
雲一つない、澄み渡った空のはるか向こうにはうっすらとひこうき雲が見える
あの飛行機は、いったいどこへ向かうのかな?
そんなことを考えていたら、車はいつの間にか学校へと着いていた
いつまで経っても降りようとしない私を、運転手が困った顔をして振り返る
「お嬢さま、どうかしましたか?」
すっと息を吸い、ゆっくりと吐き出す
『ごめんなさい、少しぼーっとしていました。』
いってきます、最後に笑顔でそう答えて車を降りる
ああ、今の私はいったいどんな顔をしているのかな?
そんなことを考えるだけで、ヘドが出そうになる