偽物少女の受難な恋
「んで、今日集まったのは知っての通り残りの役員を決める為だが、誰か候補とかいるか?」
不知火がめんどくさそうに書類を眺めながら言い、今日集まった本来の目的である話し合いが始まった
「例年通り、成績の次席の者でいいんじゃないか?」
「はぁ?それ本気か響!俺あの女マジで無理なんだけど」
「いやいやいや、お前の好みで決めるなよ」
呆れ返っている朝日奈を尻目に、柴咲はぜってーやだと騒ぎ続ける
「でもさ、今回の役員で女子は澪ちゃんだけだし、澪ちゃんからしたら女子のほうがいいんじゃないかなぁ?」
『え?あー、いや、私は別にどちらでも...』
今年の成績の次席の者といえば、金原結月だったはず
だが正直私は彼女が得意ではない、というか彼女が私のことを良くは思っていないみたいで
さらに今回の生徒会に女子で唯一私のみが役員になったことでそれはさらに悪化してしまったようだ
「それに、あの女が入ったってまともに仕事するわけないだろ。どうせ快あたりに媚び売って終わるっての」
「まぁ、確かにそれは一理あるな...快、お前は何か候補とかいないのか?」
そのとき、今までずっと黙っていた不知火の名前がでて、全員が彼へと目線を向けた
まったく話し合いに入ってこないとはおもったけど、まぁ、一応にも会長だしさすがのコイツでも少しは考えてんだろ
「あー、じゃああみだくじとかでいんじゃね?各クラスの候補出して」
「...お前を少しでも信じた俺らが馬鹿だったよ。黙ってるとおもったけど、やっぱり何も考えてないんだな!」
うん、何かもうつくづく朝日奈が可哀想になってきたわ
「えー、じゃあ...あ、澪、蓮。お前らふたり、さっき喧嘩してたバツとして来週までに残りの役員決めてこい」
気づいてたのかよ!いや、じゃなくて、今コイツなんていった?
「じゃ、これで解散ってことで、最後のやつちゃんと窓とか確認してけよ」
そう言い残して不知火はさっさと生徒会室を出ていった
私の声にならない叫びはやつに届くことはなく、ようやくでた声ですらチャイムによってかき消されてしまった