偽物少女の受難な恋
男と女の力の差というのは、実際驚くほどにあるものならしく
必死に振り払おうとした腕は決して解けることはなかった
「なぁどうする?」
「このままじゃ店何かはいれねぇし」
運の悪いことに今の時間のわたし達の周りには人影は全くなく、いくら抵抗しても誰かが助けにくることはなかった
それどころか、男たちはどんどんとさらに裏の方へ歩いていった
「何か騒いでめんどくせーし、」
「もうこのままヤっちゃおうぜ」
男達の会話が耳に入り、恐怖の気持ちがさらに強まる
『だから、離してっていってんでしょ!』
とうとうまさに路地裏というところへ連れてこられ、私は最後の抵抗を必死にした
「大丈夫だって、怖くないから...」
そういって男の手が伸びてきたとき、私はぐっと目をつぶった
そのとき瞳からは恐怖からの涙が溢れていた
もう駄目だ.....!
ードコッ!!
『っ!...え』
しかし、男の手が私に触れることはなかった
その代わり鈍い音があたりに響きわたった
ばっと目をあけ、その音の正体を目で追いかける
そのとき、私の目に入ったのは息を飲むような銀と、それに対比するかのような赤だった
そこには、かったるな目で男たちを見る一人の少年がいた
おそらく私と同い年くらいだろうか?着ているどこかの高校の制服のようなものは酷くヨレヨレになっている
気づけば、先ほどの男は地面に倒れ込んでいた
な、なに?なにがおきたの?
どうやら状況を理解できていないのは私だけではないようで、その倒れている男の仲間たちは必死になって少年に叫びかけていた
「な、誰だよお前!この女の知り合いか?」
「あ?知らねぇよそいつなんか」
「じゃあなんだよ!邪魔してんじゃねぇよ!」
「邪魔...ねぇ?」
すると彼はいきなり私のほうへ向き、問いかけてきた
「おい、あんた!こいつらはお前のセフレ達かなんかなのか?」
『は?』
な、何いってるのコイツは
「だーかーら、さっきのあんたの了承の上かどうかきいてんの!だったら、俺は本当にただの邪魔者だったって事で今すぐ退散するけど」
『っ!なわけないでしょ!知らないわよそんなやつら!』
「っ!てめぇ、」
私が少年にそう言った瞬間、男の仲間の一人が私に殴りかかってこようとした
「はい、ストップ」
しかしそれは少年によって防がれる
「カッコ悪いよ?お兄さん。男なら潔く身を惹かなきゃ、一生女子にはモテないぜ」
「っこの、ガキ!」
「まぁ、女殴ろうとするクズには無理か」
そのとき、またあの鈍い音と共に男は地面に崩れさった
「で、そこのお兄さんたちはどうする?」
少年が残りの男に目を向けると、彼は情けない叫び声をあげながら一目散に逃げたした